一般公開
「脳卒中の最近の治療 -脳梗塞を中心に-」
沼津市立病院脳外科部長 北村 惣一朗先生
脳血管の特徴・・・脳の太いは脳の表面を走行し、自動調節能が発達している。
脳の解剖・・・・・皮膚→骨→硬膜→クモ膜→太い血管→脳組織
脳循環の自動調節能・・・正常血圧者では、160-60mmHgの血圧では脳血流量は変わらない。
高血圧者は、正常血圧者に比べて血流が悪い。
脳梗塞の分類:
A アテローム血栓性脳梗塞(主幹動脈の流れが悪い→つまる)
B ラクナー梗塞(細い血管に問題)
C 心原性脳塞栓(他でできた栓子が脳の血管につまる)
・側副血行路-collateral circulation
側副血行路が発達している場合には、ほとんど症状のでないことがある。また、個人差が大きい。
・半陰影帯・ペナンブラ-penumbra
シナプス伝導は障害されているが、脳障害を来すまでダメージを受けていない領域
脳梗塞急性期の治療の流れ
・虚血中心部
(主幹動脈の閉塞+発症2時間以内)-血栓溶解法(実際治療できるか不明)
(主幹動脈の閉塞+発症2時間以上経過)-保存的治療(点滴治療)
・虚血辺縁部-脳保護療法
入院してからも、血栓による動脈閉塞のため症状が進行することを患者さんの家族に対して、説明が必要
である。特に、3〜4日目が最悪状況といわれる。
{血圧に対する誤解に対しての指導}
①病院や医院で測定する血圧が正しい→自宅にて同じ時間に血圧を測定し、手帳をつける。
(市販の血圧計は正しく測定できないというのは誤解である)
②食事・運動療法→塩分を控え、運動をすれば血圧が下がる。
③一旦のみはじめたら一生薬を飲まなければならない→中止されることもある。
クモ膜下出血
動脈瘤あり:(90%)解離性動脈瘤、嚢状動脈瘤
なし:血管奇形、もやもや病、他
治療:クリッピング、血管内手術(瘤にコイルをいれて血液を凝固させる)
症状:頭痛、嘔気、嘔吐、意識障害とさまざまで典型的な症状を呈する事は少ない。
予後:来院時の状態に左右される。
発症時の脳ダメージ、血管攣縮は予後不良の原因。