一般公開
「選択的α1A遮断薬〜前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬《ユリーフ》について」
キッセイ薬品工業(株)学術グループ
【製品特性】
1.投与早期から排尿に関する自覚症状を改善。
排尿症状・・・尿線途絶、尿勢低下、腹圧排尿などの尿道閉塞に起因する症状の総称
2.蓄尿症状の改善
蓄尿症状・・・昼間頻尿、尿意切迫感、夜間排尿などの膀胱機能異常に起因する症状の総称。
3.前立腺は主にα1A受容体を介して収縮し、血管(高齢者)は主にα1B受容体を介して収縮する
ことが報告されている。ユリーフはα1A受容体選択性が高いため、血管に比べ前立腺に選択的に
作用します。
蓄尿症状・・・昼間頻尿、尿意切迫感、夜間排尿などの膀胱機能異常に起因する症状の総称。
【組成・性状】
商品名 ユリーフカプセル2mg・4mg
成分名 シロドシン
【効能・効果】
前立腺肥大症に伴う排尿障害
【禁忌】
レビトラー血管拡張作用による降圧作用を増強するおそれがある。
【用法・用量】
通常、成人にはシロドシンとして1回4mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。
症状に応じて適宜減量する、最大1日量を8mgまで。効果は、1週間程であらわれ、4週間くらいで
安定する。
【副作用】
約20%以上
射精障害ーEDとは違い、射精時に精液量が減ったり出なくなる現象をさす。
多くは、可逆的で投与中止により改善する。4週間以内に起こりやすい。
1〜5%未満
めまい、起立性低血圧
〔1〕学術情報「日本発の大規模臨床試験“MEGA sutady”について」
福井大学医学部付属病院 薬剤部 副薬剤部長 中村 敏明先生
“MEGA sutady”について
<大規模無作為化比較試験>
冠動脈疾患のない軽度〜中度、高脂血症患者(T-Cho220〜270)
{食事療法のみ}と{食事+プラバスタチン(10〜20mg)}を比較
〔2〕特別講演「医療人としての倫理と後発医薬品」
福井大学医学部付属病院 薬剤部 副薬剤部長 中村 敏明先生
「医療人としての倫理と後発医薬品」
<医療とは>
・病気を治すこと、コントロールすること、生涯を通じてQOLを改善・維持すること
<インフォームド・デシジョン>
・医療従事者説明⇔患者理解・・・・同意と選択の意志決定
先発医薬品→スイッチOTC(そのまま)
後発医薬品→品質の安定性・生物学的同等性が厚生労働省の認めた
許容範囲内・・・主成分は同じ。しかし、同等だが同一ではない
<不純物混入量の基準>
・先発品と異なる添加物→安全性試験の必要性あり(毒性・力価・リポ化剤の違い)
<生物学的同等性と治療学的同等性>
・安全性は含まれない?添加物含有量の差で副作用↑ことも考えられる。
本当に同じか、選択時に十分評価すること。先発品と同等でないことをふまえて
フォローする必要がある。
「心疾患と非薬物治療」 沼津市立病院循環器科医長 伊藤 浩嗣先生
《心臓の解剖》
心臓のしくみ・・・厚さ1㎝くらいの筋肉である心筋が伸び縮みすることによりポンプの役割をする。
体内循環している血液量は成人男性で4〜5L、1回の拍出量は80ml。
冠状動脈・・・心筋に血液(酸素・栄養)を供給するための血管が大動脈起始部より分岐し、心臓を
包みこむように分布している。
刺激伝達系・・・心拍リズミを生み出すしくみ。
発電所である洞結節から発生した電気を心臓全体に伝える。
心臓の異常
A 冠状動脈→狭心症、心筋梗塞
B 心筋→心筋症、心筋炎
C 心臓弁→心臓弁膜症
D 刺激伝達系→不整脈
E 生まれつき→先天性心疾患
不整脈(徐脈性-房室・洞房ブロック・洞徐脈 60回/分以下)
(頻脈性-心室性・心房性 100回/分以上)
心臓のリズム障害、健康成人男性 60〜70回/分が正常
原因:電気刺激が何らかの理由によって乱れリズムが不規則になる為
治療が必要な不整脈 ①致死性不整脈
②心血行動態に悪影響
③自覚症状が強い
④塞栓症の原因
【治療】
1.薬物療法(抗不整脈薬):頻脈>徐脈
2.ペースメーカー植え込み:徐脈性 沼津市立病院ではH17 30件/年
(人工的に電気刺激を与えることで心拍数↑心拍出量↑)
3.カテーテルアブレーション:頻脈性 沼津市立病院ではH17 20件/年
<カテーテルアブレーション>とは、高周波通電で異常箇所を焼いてしまう方法
長所・・・根治療法である。抗不整脈が不要。成功率が高い。
虚血性疾患(狭心症・心筋梗塞)
心筋が酸欠状態となる症状:胸痛
狭心症は一時的な発作であるが狭窄が進行して完全につまると心筋梗塞となる。
心筋梗塞の特徴-冷汗、吐き気を伴う強い胸痛30分以上、ニトロ舌下でも治まらない。
【治療】
心臓カテーテル(主流) 沼津市立病院ではH17 20件/年
PTCA・・・経皮的冠動脈形成術
PCI・・・・・経皮的冠動インターベーション
しかし、再狭窄は30〜40%で生ずる。
【再狭窄の防止】
ステント留置・・・抗血小板薬の内服が必要である。しかし10〜20%で再狭窄が新生内膜の異常増殖
のためおこる。
薬剤溶出性ステント・・・ステント内再狭窄を予防する有効な治療法
血管平滑筋細胞の増殖を抑える。
約90日で薬剤が完全に溶出する。
<利点>5%と低い再狭窄率
<欠点>長期の抗血小板療法が必要(パナルジン最低3ヶ月、アスピリン継続)
「オキサゾリジノン系合成抗菌剤〜ザイボックス」 ファイザー株式会社学術部
・逆白衣高血圧;外来収縮期高血圧<24時間収縮期高血圧
・早朝高血圧
・DM・腎機能低下等の高リスクの人はすぐに治療を開始する。
・生活習慣(塩分6g↓、果物及び野菜の摂取)を修正し3ヶ月間経過をみる。
(なお、DM・腎障害の方においてはKの摂取に注意する)
・若年、中年者 130/85未満
・高齢者 140/90未満
・DM、腎機能障害 130/80未満
・BMI 25以下、運動 30分以上を目安とする。
第一選択薬:Ca拮抗薬→ARB→ACEー1→βブッロッカー→αブロッカー併用・Ca拮抗薬ーARB
・ARBー利尿剤
*腎障害注意ー慢性腎不全{Scr30% 血清K 5.5mEq/L}以上では注意が必要
*ARb・ACEー1は妊婦に禁忌→βブロッカー(・メチルドパ・クロニジン
・プロプラノロール・ヒドララジン)を使用する。
*抗アルドステロン剤・・・今後注目されていく薬剤
*少量の利尿剤として、フルイトラン1mg、ダイクロトライド12.5mgを使用。(痛風患者に注意)
{Kの多い食品}野菜・果物→ 柿、リンゴ、アボガド、バナナ、ホウレン草、アスパラガス、アシタバ等
「プラビックス錠」
サノフィ・アベンティス(株)学術部
新薬プラビックス錠25mg 75mg・・アデニルシクラーゼ受容体阻害剤
<効能・効果>
血栓性脳血管障害後の再発予防(心原性脳塞栓症を除く)
使用上の注意
投与開始後2ヶ月間は、2週間に1回程度の血液検査等の実施
<作用機序>
本剤は、肝で活性代謝物に変換されて速やかに血小板膜上のADP受容体に選択的かつ不可逆的に結合
→P13キナーゼの活性化抑制→GpⅡb/Ⅲaの活性化阻害
さらに、ADP受容体刺激によっておこるGiによるアデニレートシクラーゼ活性抑制を阻害→C-AMP↑→
Ca↓→各種血小板凝集因子による凝集反応抑制。
<特徴>
虚血性脳血管障害の再発抑制において、塩酸チクロピジンに比し同等性を示す。安全性においては、白血球
減少・血小板減少・肝機能障害の発現は低い。プラビックス(CYP3A4-人種差なし)とパナルジン
(CYP2C19-人種差あり・日本人には少ない)の代謝酵素の違いが、副作用の発現違いになっていると
考えられている。
世界106ヶ国で承認
<用法・用量>
クロピドグレルとして75mgを1日1回経口投与
出血傾向、年齢、体重、症状により50mgより開始する。
<禁忌>
塩酸チクロピジン